産後のイライラはホルモンバランスが原因
産後のママの身体や心の状態について
阿倍野区阪南町のSALAレディースクリニックの桝田院長先生に伺ってみました。
産後のお悩み症状のひとつにあるのがイライラ。大好きなはずの子どもに愛情を注げない、愛しているはずの夫のことが好きになれない、自分のことを思ってくれているはずなのに自分の親の行動にもイライラしてしまう…。そして、そんな自分に一番イライラして落ち込んでしまう、そんな毎日は苦しいですよね。
でも、実は他にもいろんな症状があるのをご存知ですか?献立を考えられなかったり、掃除の効率化をはかれなかったり、普段の掃除や家事、育児、何に対しても意欲がわきません。特に育児はやらなければいけないとわかっていても、心と体が一致しません。やれない自分にも不甲斐ない思いがでて、より情緒が不安定になります。こういうときは、眠りも浅かったりよく眠れなかったりするので、眠っても疲れがとれません。だるさが続いて頭も重く、精神的に辛い状況です。
温和な性格だったのに、どうしてこんなにイライラするようになってしまったのか、と悩むママは少なくありません。ましてや、大好きな子ども、夫、親にまでイライラしてしまうことも多く、そんな自分に自己嫌悪してしまって涙がとまらない、という話しも聞きます。
産後のイライラはホルモンバランスが原因
産後のイライラは性格の問題ではなく、実はホルモンバランスが崩れるからなのです。人間の体にはたくさんのホルモンがあり、それぞれがさまざまな働きをしています。出産後、女性のホルモンバランスは大きく乱れます。授乳するため女性ホルモンが激減し、いつものホルモンバランスが崩れ、自律神経に影響を及ぼし、産後うつの状態になります。よく月経前後に月経前症候群(PMS)の症状でイライラしたり、落ち込んだりといったことがありますが、それもホルモンバランスによる自律神経の乱れからおこります。産後うつの状態は、PMSの期間が1年、2年と続くと考えていただくとわかりやすいです。こんな状況が続けば、辛いのは当然です。
マタニティブルーズは産後10日以内に一過性であるのに対し、産後数週間から数か月以内に気分が沈むようになり、周囲に対する興味や喜びが感じられないこと、不安、緊張、集中困難、不眠、必要以上に罪悪感を抱いて自分を責める、自分はまったく価値のない人間だと感じるなどの心の症状がでてきて、2週間経っても改善しない場合や悪化傾向がみられる場合には産後うつ病が疑われます。疲労、頭痛、食欲不振などの何らかの身体的な症状を伴うことも、通常のうつ病と同じです。産後うつは誰もがなりえます。1日中休む暇なく赤ちゃんと向き合っていればそりゃ誰でも「息苦しく」感じることがあると思います。初めての育児なら、なおさらです。
また、産後は初めてのことばかりで毎日が緊張の連続。身体も疲れますが、精神的にも疲れます。授乳で眠れないことも多く、疲れをリセットすることができません。加えて、今までの人間関係が大きく変わっていくのも事実。育児にかかりっきりで友人などとも会えず、夫は相変わらず仕事中心の生活だったりすると、どうして自分だけ…と悲しくなってしまいます。
以前は、良くも悪くも親世帯と暮らすことが多かったので、子育ても家族全員が参加できましたが、今は核家族世帯も多く、日中子どもと二人きりで過ごしていると、産後うつの状態に拍車をかけることになってしまいます。
十分にがんばっているママ。無理をしないで
産後、まずママは無理をしないこと、誰かと話す機会を持つことを意識しましょう。近くに家族がいなければ、子育て支援の場(子育てプラザやつどいの広場など)や区役所に行ったり、買い物で店員さんと話すだけでも気分は晴れます。
あまりにつらい場合は、医療機関に相談してみましょう。その前に夫にもきちんと話をしておきましょう。自分の症状を分かってもらうことは、一緒に育児をする上で大切なことです。難しければ、産後うつに関するサイトや本を見てもらってもいいでしょう。子育ては1人ではできません。そして、そのイライラもいつかはおさまってきます。本来の優しい性格に戻ることもできます。今は、自分の体も大切にして、リラックスが5分でもできるように過ごしていきましょう。
マタニティブルーズ・産後うつについてお悩みの方は、気軽にかかりつけの婦人科医にご相談ください。助産師とも協力して、きっと良いケアをしてくれます。おっぱいのトラブル、産道の傷・帝王切開の傷にお困りの方も、ぜひ婦人科医にご相談ください。