東住吉区にある「赤本」を編集・出版されている会社をレポートします!
あの「赤本」の出版社が東住吉区に!
中学・高校入試の過去問といえば「赤本」ですよね~。学生時代、きっとお世話になったママ・パパも多いはず!その赤本を編集・出版している株式会社英俊社さんの本社が東住吉区にあること、知ってました? まだ少し先だけど、子どもがお世話になることもきっとある!ということで、会社にお邪魔し、2代目社長の久保博彦さんと編集長の勝田和之さんにお話しを伺いました。
今川緑道からほど近い住宅街にある本社社屋。
毎年約400校の中学・高校入試の過去問を出版
創業は1974年という英俊社。現在、毎年約400校の中学校・高校の赤本を出版されています。例年1月末から編集作業を開始し、ゴールデンウィーク明け頃から順次発行されるとのこと。最後の学校の問題集が出るのが10月半ば頃と言います。主に関西圏の私学と国公立、名古屋や福岡の学校も出版されているそうです。
40年以上も関西を中心に子どもたちの受験勉強に併走し続けている赤本
1文字ずつ入力して紙面を作成
各校から入試問題が届くと、すべての文字を入力し直し、図なども1つずつ忠実にトレースし、制作していると聞き、びっくり。スキャンしてそのまま貼り付け、ではないんですね。入試問題と本のサイズが違うため、1つずつていねいに入力し直すことで、すべてのレイアウトが統一された紙面になっているんですね。
また、学校から手に入れることができるのは入試問題だけ。つまりすべての問題はスタッフが1問1問実際に解いて内容をチェックし、解答と解説も作成されているそう。学生のみなさんが解き方を自分で読んで理解しやすいものになるよう心を砕いておられるそうです。過去には、問題のミスを発見し、学校に問い合せたこともあるそうです。「大げさかもしれませんが、子どもたちの人生に関わる本だと思っていますので、『正確性』には、細心の注意を払っています」と久保社長。
最近は1つの学校で受験できる日程が増加したことで、問題も複数になっているとか。学校によっては同じ試験でも日程別に問題のレベルが違っていることもあるそうで「受験生にとって、どんな問題が出るかは未知です。レベルの違いも含め可能な限りなるべく完全な形で載せて、私たちが知りうる情報はすべて届けたいと思っています」と勝田編集長。受験生にとっては、心強い限りです。
「創業当時の手作業で文字を写植していた頃から手を抜かず
きちんと原稿を作成することにこだわり続けています」と久保社長。
変化する入試を前に子どもたちが育むべき力とは
2020年度から大学入試センター試験が大学入学共通テストに移行することで、今後中学・高校入試も変わってくる、と編集長。「ただ知識を詰め込めば解ける、というのではなく思考力や表現力を問われるようになってくると思う」とも。
子どもたちはどんな力をつける必要がありますか?と伺うと「個人的には国語力・読解力がとても大事だと思いますね。数学の問題も読み解く力が今まで以上に必要になってくる。今はわが子も含め、学生たちの読書量がとても減っていることが気になっています。スマホや動画、ゲームに費やす時間が増えているので、小さな頃から本に親しむことが大事だと思いますね」と久保社長は教えてくれました。
勝田編集長も「以前執筆を依頼していた先生が『小さい頃に自然に触れる機会を増やしてあげることが大事。見て感じて感性を育てること。入試に限らず社会に出ても言われていることをイメージする力やアンテナを張りめぐらせる、ということが大事』と言われてましたね」と言われ、子どもたちの経験を豊かにすることが学力にもつながる、ということなんだなぁと感じました。
デジタル化にも対応
1つ1つ問題を作成するという大変な作業をすることによって膨大な量のデータが蓄積・管理されているため、現在は塾の先生方を対象としたサービスも充実。オーダーメイドでプリントを作成できるオンラインのサービスが人気だそうです。もちろん時代の変化に伴い、電子書籍も販売されるなど、流れに対応しつつも「タブレットの良さはもちろんありますが、手を動かさないと学力は身につかない。自分で図を描いて解く作業をしてこそ学力がつくのではないかと思っています」との考えに、時代は変わっても勉強する姿は変わらないんだなぁと実感しました。いつかはやってくる「受験」に向けて、たくさんの学びを得ることができました。