住吉母子医療センターで活躍するチャイルド・ライフ・スペシャリスト。
息子が今年の夏、大阪急性期・総合医療センターにある「大阪府市共同 住吉母子医療センター」に入院しました。その際病棟で息子のサポートをして下さったのがチャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)という専門職の古賀さんでした。
アメリカの小児医療の現場では一般的になってきているそうですが日本ではまだあまりなじみのないCLSという職業。CLS協会のサイトによると全国で44名(2018年8月現在)の方が大学病院やこども病院で活躍されています。そんな国内で数少ないCLSのお1人である古賀さんにお話を伺ってきました。 チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)とは病院で医療を受ける子どもや家族の不安を取り除き、子どもが主体的に治療に取り組めるようにサポートする専門職です。子どもにとっては病気やケガがあるというだけでも辛い状況なのに、さらに病院という場所に来ることで大きな不安と心細さを感じます。そのような子どもの気持ちに耳を傾け、病気や治療方法をわかりやすく説明し、子どもの気持ちに寄り添う事によって、安心してスムーズに治療が行えるよう支援します。
子どもの前向きな気持ちを引き出す
幼い子どもにとっては病気ということも理解できず、なぜ治療をしないといけないのかわからないということもあります。古賀さんはカラフルな紙で作った臓器の模型を見せて「この部分が悪くなっているんだよ」と話したり、アンパンマンを患者に見立ててマスクをさせたりして「手術のときはこんなふうにするよ」などというように人形やイラストを使って伝えます。見せるものや言葉は子どもの年齢によって変えてどのようにしたら理解しやすいかという事に心を砕いておられるそうです。
息子の場合、小児科の外来での診察時に突然入院と告げられてパニックになり大騒ぎをしました。「入院なんかせえへん!帰る」と泣いて暴れる息子を先生や看護師さん5~6人で囲んで説得するも、かたくなに拒否しつづけ、泣き叫ぶこと小一時間…。ですが、古賀さんと二人きりで話したあとようやく入院することを納得してくれました。息子は注射や点滴が怖かったようで、古賀さんはくまのぬいぐるみを使って、点滴とはどういうことをするのかということや、針を刺すときも怖ければ麻酔を塗るので痛くないという事を説明してくださったそうです。
親である私自身も息子が痛い検査や治療を受けると思うと不安で仕方がなかったのですが、安心している息子の姿を見て私も安心することができました。
子どもにとって…というか大人でも、これから何をするかという事がわかると不安が少なくなるそうです。
古賀さんは「子どもは大人が思っている以上に自分自身でポジティブに変わることができ、前を向く力をもっている」とおっしゃいます。治療前にほんの数分間でも関わりを持つことで子どもの気持ちが大きく変わりその後の治療や処置がスムーズになるので、出来るだけ少しの時間でも関わりを持つということを大切にされています。
子どもたちのためによりよい支援を
大阪府市共同住吉母子医療センターでは古賀さんが初めてのCLSだそうで、看護師さんたちもCLSという職業は知ってはいても一緒に働いたことがないという方がほとんどでした。そんな中、医師や看護師、保育士の方たちと協力、連携しながら試行錯誤を重ね、子どもたちとその家族によりよい支援ができるよう日々奮闘されています。
ご自身も子どもの時に喘息の持病があり病院通いをしておられたそうで、その経験から医療に携わる仕事がしたいと思われたという古賀さん。この仕事をしていて「怖がっていた子どもががんばると言ってくれる時が一番うれしい」と笑顔で話してくださいました。そしてこの仕事のことを多くの方に知ってもらい、子どもたちが怖がらずに安心して治療を受けれるようになることを望んでおられます。
少子化のため小児科医療が少なくなっている中、CLSの方によるサポートが受けられる病院が私たちの身近にあり、子どもを持つ親としてはとても安心できますね。
楽しいプレイルーム!
取材の最後に、病棟にオープンしたばかりの入院患者専用のプレイルームに案内していただきました。 木のぬくもりが感じられるスペースにおもちゃや絵本・ゲームがたくさんあります。おままごとセットや大きなテレビ、はいはいの赤ちゃん向けのマットを敷いたコーナーもあります。お部屋に戻りたくなくなりそうですね。
チャイルド・ライフ・スペシャリスト協会
http://childlifespecialist.jp/