自分の意思を伝えることの大切さを幼児期から知ってほしい
大学で教鞭を執るかたわら、女性のマネジメントや育成に関する研修も多数実施している岩田千栄美さん。その知識や経験をどう子育てにも生かしているのか、岩田さんが日々考えていること、子どもに伝えていることを教えていただく企画です。
大阪市生まれ阿倍野区在住。大阪市立大学(現大阪公立大学)大学院 創造都市研究科 博士課程 満期退学。女性のマネジメントや育成に関する研修やセミナーの実績多数。桃山学院大学ビジネスデザイン学部(桃山学院中学高校となりに2020年9月開設)特任講師。中1と小4の2児の母。
“NOはNO”
当たり前のことを言っているだけのようですが、実はこれが今とても重要視されているのをご存知でしょうか。
意思を示すことが大事
この言葉は「同意」が大切であることを意味しますが、反対の意味を持つのが「嫌よ、嫌よも、好きのうち」です。(口では嫌がっていても、内心では好意があることを指す)
ひと昔前は、女性が男性に誘いを受けたときの描写として、この言葉が使われたりしました。
しかし最近は、自分の意思をはっきりと示すこと、そしてその意思は尊重されるべきであることが言われるようになってきました。
加害者も被害者も自覚のない「デートDV」
こうした背景にある問題のひとつが「デートDV」です。
恋人のような親密な関係の相手から受ける暴力を「デートDV」(DV=ドメスティック・バイオレンス)と言い、10~20代の若者を中心に深刻な問題になっています。
適切な情報や知識を持っていないために加害者も被害者も「暴力」の自覚がなく、「好きだから仕方ない」「束縛されるのは愛されている証拠」などの誤った認識が、事態の悪化を招いてしまいます。さらに、デートDVは望まない妊娠・出産へと連鎖するリスクもあり、最初に違和感を持った時点で、はっきりとそれを伝えることがとても大切になるわけです。もちろん男性が被害者になるケースもあります。妊娠や出産のリスクは無いものの、心身ともに深く傷つくことは変わりません。ですので、”NOはNO“は性別に関わらず、重要な性教育の1つと言えます。
幼児期から親子でできること
そうは言っても、“NO”を伝えるのは難しいものです。子供にどう教えたらいいか…と悩みますよね。
まずは、「自分で決める」ということを親子で意識してみてはいかがでしょうか。「今日はどの服を着る?」「どっちのジュースを飲む?」、そんな些細なことで構いません。
自分で決める、そしてその意思を最も身近な大人が尊重してくれる。その経験を繰り返すことで、やがて“NO”が言える大人にもなれると思います。
「忙しい時間にそんなの無理」「精一杯でそんな余裕なんてない」と感じられる方もおられると思います。私自身も、子供が自分で決めることをできるだけ尊重しているつもりですが、いつも完璧にできているわけではありません。
保護者の方にも余裕が必要ですので、無理のない範囲で取り組んでみてください。