Column あべの親子防災部リーダーに聞く 子連れ防災Q&A

あべの親子防災部リーダーに聞く 子連れ防災Q&A

いつどこで起きてもおかしくない自然災害。
1月に発生した能登半島地震後、防災グッズの見直しをされた方も多いのではないでしょうか。
だけど、本当にこれで足りるのかな…?何をどれだけ用意すればいいの?
普段からできる防災対策って何があるの?
乳幼児を子育て中の紙面モニターさんたちがあべの親子防災部 リーダー 益田紗希子さんに気になるあれこれを聞きました!
参考にしてみてくださいね。

(左)あべの親子防災部 リーダー 益田紗希子さん

Q1 結局のところ…何から揃えたらいいでしょうか?

防災グッズの備え方は、0次、1次、2次の3つのパターンがあります。
まず必要なのは、何かあった時にぱっと持ち出せる、防災リュック。これが1次の備えとなります。2次の備えは、お水や食料を中心に家にストックするもの。オムツは1パック多めに用意しておき、今使っているもののワンサイズ上もあるといいですね。
0次の備えは、普段のバッグに入れておくもの。小さいお子さんをお持ちの方の場合、オムツやおしり拭き、それに飲み物、大判のハンカチがあると寒さ対策もできるのでいいですね。私は普段、ちょっと小腹が空いた時のお菓子、髪ゴムなど、これがあったら安心というものをポーチに入れて持ち歩いています。

Q2 おむつはなぜワンサイズ大きめが必要なのでしょうか?

災害はいつ来るかわからないし、長期化する恐れもあるので、サイズの小さいものよりは備えとしてはワンサイズ大きめのものがよいと思います。
もちろん今使っているサイズでもいいですし、どちらにしろ1パック多めにおいてあるということが大事かなと思います。

Q3 期限の切れてしまった長期保存のお水が家にあるのですが…

基本開けていなければ飲めます。もちろん気になる方は気になると思いますが。生活用水として、普段のお掃除の時や顔を洗う時のために使うこともできます。

Q4 子どものための食料の備えはどうしたらいいでしょうか?

普段、お子さんが食べているものがいいですね。
例えば、レトルトのパックごはんがあると、湯煎すればつぶして食べさせてあげられます。
わが家の場合、無洗米を用意していて湯煎調理で炊けるようにしています。湯煎調理の方法も確認しておくといいですね。

Q5 季節によって防災リュックの中身は変わってきますか?

冬と夏では備えておくものが違うので、年に2回(春・秋)に避難グッズを見直してもらえたらと思います。夏は熱中症が怖いので水を多めに。水道水は常温で3日、冷蔵庫だと10日ほど保管できます。

Q6 普段持ち歩く用の防災ポーチに入っているものを教えてください

私は小銭など現金も入れています。他にはアルミシート、予備のマスク、簡易トイレ、くし、髪ゴム、あめ、ナプキンと紙ショーツ、ビニール袋、薬、ハンカチですね。自分が持っていると安心なものを入れておくという感じです。

Q7 近所のスーパーやネットで何でもすぐ買えるので、備蓄しない派なのですが…

冷蔵庫にはできるだけたくさん食料を入れておいてください。非常時は、なかなか手に入らないという想定で買っておいてほしいですね。
3.11の地震が起こる前にスーパーに行った時、おやつがもうないけど荷物が多くなるのがいやでちょっとだけ買って帰ったらその直後に地震が起こって、「あの時もっとパンやお菓子を買っておけば食べられたのに」という話を聞いて、やはり買える時には買っておかないと、と思います。
例えば、今日安いから1つ多めに買っておこう、という風に少しずつ備蓄していただけたら。缶詰やフルーツ缶も、お子さんがもし食べ慣れていたら心がホッとするかもしれません。

Q8 ガスが止まったらどうしたらいいでしょうか?

カセットコンロとボンベがあると安心です。お子さんの普段食べ慣れたものを作れますし、お湯を沸かしているときに暖も取れますし。ぜひ1台用意してもらいたいです。メーカー的には10年が使用期限。けっこう古いなと思ったら買い替えていただいたほうがいいです。ボンベも作られた日付から7年。できるだけ古いものから先に使ってください。カセットコンロがあると、ライフラインが止まって冷蔵庫が使えないという時でも、腐りやすいものから調理して食べることができるので、用意しておいてもらえたらと思います。

Q9 ガスボンベはどのくらい必要ですか?

1日に2本使うと計算すると、基本的には14本必要となります。ご飯を温めるだけでもけっこう時間がかかるんですよね。

Q10 冷蔵庫が止まったら、どうすればいいですか?

まずは冷蔵の腐りやすいもの(肉・魚)から順番に調理して食べましょう。冷凍庫は1日くらいもちます。

Q11 水を備えていますが、クローゼットの奥の方にあるので、とっさに取り出せないです。家の中でバラバラに置いてあるといざという時に困りますか?

クローゼットの奥にあっても2次の備えとしておいてあることが大事ですし、一か所にまとまっている必要はないと思います。物が倒れていざという時に取り出せない、ということにならないように工夫しておくとよりよいと思います。

Q12 在宅避難の場合は、配給や炊き出しはもらえないですか?

避難所に自分から行かなければならないです。避難するというより情報を取りにいくという意味で。「炊き出しあります」といった掲示を見て「私たちも参加させてもらっていいですか」と、避難所にはいないけど在宅避難していることを伝える必要があると思います。 基本的に阿倍野区は在宅避難が多くなると言われています。大阪市では110分の間に1mを超える津波が来ると言われています。避難所は海側から避難してきた人であふれます。物資は、避難所にいる人たち優先ですぐになくなるので、分けてもらえないことも想定しておきましょう。
避難所の状況は刻々と変わるし、場所によっても違います。SNSでも情報が上がってきますが、それだけではわからないリアルな情報も現地にはあります。 ベビーグッズや生理用品などは備蓄されていないので、基本的に支給されないものと思って、多めにストックしておく。好きな食べ物も「今日は2袋買っておこう」とちょっと買い足しておくのがいいですね。 しばらくしたら物資も届くので、どう分けてもらえるか、避難所で得た情報があると、意思表示できます。

Q13 普段できる防災対策はどんなことがありますか?

お出かけ先にオムツを多めに持っていく、飲み物を持っていく、スニーカーで行くこと、などがありますね。非常口を確認して「ここから逃げればいいんだな」と想像する力を持っておくと必要以上に怖がる必要はないかなと思います。 例えばベビーカーだと移動できない状況も考えられます。その場合、抱っこ紐に移して子どもを体の一部にして逃げる。子どものために大人がなんとかしないといけないので、想像しておかないといざという時に動けません。脅しているわけじゃないですけど、想像することってすごく大事だと思うんですよね。

Q14 やっぱり抱っこ紐の方がいいですか?

抱っこ紐は持っていったほうがいいですね。階段しかない時、大変なので。 そうすると、いざという時は子どもを抱っこして後ろにリュックを背負う方がいいなと想像できます。小学生だと自分で荷物を持てるので、そこに防災グッズを入れておくのもいいですね。

Q15 行政的にも自己責任で備えてくださいという考え方なのでしょうか?

コロナ禍の時に、阿倍野区はどれくらい備蓄されているのか防災部のママたちで倉庫を見せてもらいました。備蓄は53万人、1日分なんです。しかも避難者数なので全員ではないんですよね。 備蓄はないと思っておいた方がいいかもしれません。
おむつもこのメーカーのこのサイズがいいですと言われても難しいですね。 お子さんに合ったものや必要なものが用意されている状況ではないと思ってもらったらいいと思います。

Q16 行政の備蓄品の1日分ってどれくらいの量ですか?

ごはんや乾パン、水という感じだと思います。

Q17 他に非常時に困ることはどんなことでしょうか?

食べ物の話を中心にしてきましたが、トイレの備えも大事です。 1日に5〜8回排泄すると言われているのですが、例えば10個入りパックだと1日でなくなります。 このお試しパックには消臭袋と凝固剤が入っています。トイレが無事な場合は、トイレの水が張ってあるところにゴミ袋をかけて、その上から消臭袋をかけ、便座をおろして用を足します。マンションでは水道・電気が止まるとトイレの水を流せなくなります。配管が無事かもわからないので基本的には流さず、簡易トイレを使用することになります。 最後は凝固剤で固めて捨てます。凝固剤はオムツに入っているものと同じような成分となっています。使用した後は、例えばふた付きの衣装ケースに入れて、ベランダや外に置いておきます。災害時、ゴミ収集車は1週間以上来ないので、ある程度ためておかなければなりません。

簡易トイレを実際に見せていただきました

Q18 簡易トイレは最大何回まで利用できますか?

基本的には1回ごとに交換が必要です。

Q19 3回分とかまとめてすると固まらないのでしょうか?

一応600mlまでと書かれているのですが、試しに水を追加してみると…ゆるくなりましたね。

Q20 例えば4人家族だと6回×4人×7日分ってこと?

そうですね。4人家族だと最低でも100個ぐらいは必要だと思います。 マンションだと、上と下の配管がつながっているので、もし配管が壊れていたら水を流すとよその家に漏れてしまうかもしれません。自宅が無事でも簡易トイレを使用しましょう。

Q21 被災地のトイレ事情は?

能登に行った人に話を聞きましたが、やっぱり大変な状況ですね。移動トイレだと基本的に何百回分を溜めておけるのですが、全然追いつかない。避難所のトイレの数は女:男=3:1がよいと言われていますが、能登では1:1で男女共用のトイレも多くあったそうです。

Q22 被災地の人たちのために今は、防災グッズは買い控えた方がいいでしょうか?

近所のホームセンターなどに売っているものはその地域の人への販売分なので、買っても問題ないと思います。

Q23 他におすすめの防災グッズはありますか?

あとは、ライトですね。夜はやっぱり暗いし、ご飯を食べる時やオムツを替える時にあかりが必要です。もし停電になった時にちゃんと使えるか、定期的にチェックしておきましょう。たとえば、寝室に置いておくと、いざという時すぐに点けられますよ。ヘッドライトは、作業する時に両手が使えるのでおすすめです。防災グッズは100均でそろえられるものも多いので活用してほしいなと思います。

Q24 不慣れな環境で子どもと避難生活できるのか不安です。日頃からしてしておいた方がいいことはありますか?

たとえば防災食を食べてみるのはどうでしょうか。あとは、普段と同じ環境というのは難しいので、お気に入りの人形やよく食べるものを常に持っておくと、避難ストレスが軽減されると思います。家でポップアップテントを使ってみるのもいいですね。

Q25 いざという時に助け合うために大切なことは何でしょうか?

コロナの時もそうでしたけど、うその情報も出回るので、正しい時に正しい情報を受け取ることが大切ですね。 防災のコミュニティーに入っていただき、地震など災害が起きた時にはみんながそこで情報共有できればと思っています。 大阪防災アプリをスマホにダウンロードし、日頃から備えることも大切です。
また、それぞれの地域で防災訓練をされているので一度参加してみましょう。避難所までの経路を歩いてみるのもいいですね。

Q26 あべの親子防災ノートはどこで手に入りますか?

ままちっちの子育てひろばにあります。あべの親子防災部のホームページからPDFでダウンロードもできますよ。

Q27 小さい子どもを連れて避難所には行けないなと思いました。みんな苛立っているだろうし、気を遣うので…

だからこそ地域に出ることで、子どもはこういうものですと地域のお年寄りなどに知ってもらうようにしましょう。また親子専用の部屋を作ってください、と提案するなど当事者同士が一緒に避難所を作ろうという意識を持ってもらえたらと思います。 専用の部屋があれば授乳もしやすいですよね。
避難所は残念ながら性被害も多いです。女性だけではなく、小さい子どもも。トイレも一人で行っておいでではなく、一緒についていくことが本当に大切になってきます。そういうことがあるかもしれないということを情報として持っておいてもらいたいなと思います。

コロナの時に備蓄の大切さを知ったはずなのに意識が薄れていました。もう一度見直そうと思います。

今日聞いたことはぜひご家族やお友達に話してください。話すことでインプットされますし。みなさんの防災の意識を高める機会になるといいなと思います。

 

あべの親子防災部

いざという時に備え、乳幼児を抱える家庭向けに防災啓発活動を行っています。

Instagram:@oyakobousaibu

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