Column 絵本タイムがもっと楽しくなる!親子のための読み聞かせQ&A

絵本タイムがもっと楽しくなる!親子のための読み聞かせQ&A

乳幼児を子育て中の紙面モニターさんたちが、阿倍野区で読み聞かせの活動をされているfelice〜ふぇりーちぇ〜の『めぐみおばちゃん』こと、脇阪めぐみさんに読み聞かせに関する気になるあれこれをお聞きしました!参考にしてみてくださいね♪

Q&A回答者:脇阪めぐみさん

NPO法人アトリエPetata認定 ペタタント読み聞かせアート絵本講師。

読み聞かせと親子遊びの活動をしている『めぐみおばちゃん』として阿倍野区を中心に活動中。felice〜ふぇりーちぇ〜は大学生の娘さんとのユニット名で年に数回、阿倍野図書館で読み聞かせ会を実施している。

Q1.読み聞かせをする時に大事にされていることは?

読み聞かせは、ただ単に読んで「はい終わり」ではなくて、心を届けるものだと思っています。絵本の作者の想い、出版に関わった方の想い、読み手としての想い、それらが合わさって、この空間がものすごくほんわかして、柔らかい時間が流れてたらいいなって。そんなお話会を目指してるんです。なので、「あなたたちが大好き」っていう気持ちをなるべくお届けするようにって思っています。そして、親御さんが24時間のうち、お話会に参加されている時間だけは、家事や用事も気にせず楽しく過ごしていただきたいなと思って、日々活動しています。親として、娘と関わる時は「あなたが大好き」っていう気持ちが伝わればいいと思ってきました。子どもが小さいうちは、ストーリーはまだわからないし、「あ、ウサギさんが出てきた」もうこれだけでいいんですよ。あなたと過ごすこの時間がママにとって楽しい時間だし、あなたのことが大好きだよっていう気持ちが伝われば、それで充分だと思っています。子どもって、自分のためだけに読んでもらってると思うと、すごく嬉しいんです。愛されてるってやっぱり思うので。ママが自分と向き合って、自分のために時間を使ってくれてるっていう満足感をしっかりと与えてあげてほしいですね。そうすることで、親子の絆の土台ができるので。信頼関係を結ぶために絵本を使ってほしいと思っています。その手助けになったら良いなと思って、活動をしています。自分が見て、この本楽しそうやな、この絵好きやなっていう、それだけでいいと思うんです。「ほらほら見て、こんなかわいい絵本見つけたよ」って。教えたくない、嫌な言葉や表現は、言い換えて読んでもいいと思います。

Q2.読み聞かせはいつから始めたらいい?何歳まで続ける?

お母さんのお腹にいる時からお母さんの声は聞こえています。なので、いろいろ語りかけてあげることが大事だと思います。赤ちゃんと何を話せばいいかわからない人こそ、絵本を使って語りかけてあげてほしいですね。赤ちゃんって最初ははっきり見えてないし、わからないんだけど、生後3か月ぐらいになると、点々がついていると顔だと認識できるようになるらしいです。新生児期は、やっぱりバタバタしてると思うので、ちょっと気力が湧いてくる3ヶ月頃からがちょうどいいかもしれませんね。みなさん、きっとね、読み聞かせだからちゃんとしないとって思ってはると思うけど、そんなんええねん。いい加減で良いのよ。だから自分の余裕のある時。急いでる時って気持ちが伝わらないじゃないですか。急いでるっていう気持ちは伝わるし、鬱陶しいなっていう気持ちも伝わってはいけないので。だから、自分の気持ちに余裕のない時は、もうしない方がいいかなと思います。俳優さんじゃないので。マイナスの気持ちは絶対伝わっちゃうから、この絵はあんまり好きちゃうねんなとか、この作者さんの言い回しはちょっと好みじゃないなって思うものは、絶対読まないことにしてるんです。なので、お母さんもそれで良いと思います。自分に余裕があって、自分の好きな本をこの子と共有したいって思ったその時だけで良いと思います。それで最後まで読めなかったとしても、子どもの気が逸れたなと思ったら、もう閉じてしまって、おしまいにしても良いんです。本には始まりがあったら必ずおしまいがありますよってことは覚えてほしいので、途中でも読み終える時には必ずおしまい、と言ってます。いつまでっていうのは、子どもさんが読んでって持ってくる間は、絶対に読んであげてください。やっぱり子どもにとって、それが気に入っている時間ということなので、たとえ小学生であっても、中学生、高校生になっても、この本読んでって持ってきたら読んであげてください。ただ、そう言わなくなって、自分がいつぐらいまでにしようかなと思うんだったら、私はできれば小学3年生ぐらいまでは読んであげてほしいなと。ただ、毎日ってなると、やっぱりお母さんたちも忙しいので、毎日でなくても良いので、週に1回でも良いので、できれば小学3年生ぐらいまでは読んでいただきたいなと思ってます。文字を読めることと文章を理解できるっていうことは、別問題なんですね。文章として理解して、情景としてどうものかというのを想像することは、すごく高度な技になってくるので、小さいうちは自分で読んでも意味がよくわからない。だから低学年までは、一緒に読んでいただけたらと思います。

Q3. 1日に何冊読めばいい?

よく質問されることですが、本当のところ全然決まりはありません。毎日読まなくちゃと思うと、しんどくなる。子どもの状態によりますね。その子が機嫌よく聞いてくれるんやったら、1冊読んで、もう1冊でも良いと思うし。毎回同じ本でも良いですよ。子どもに合わせてあげてください。2歳まではそれで良いと思います。読み聞かせだから、読まないといけない、聞かせなくちゃいけないと思われる方も多いと思うんですけど、聞かせなくちゃいけないじゃなくて、一緒に楽しむっていうことが目標なので。だから気が逸れたらおしまいにして、またちょっと機嫌が良さそうやな、なんか落ち着いて遊んでるなって時にちょっと出してみて。だって読まなくちゃと思うと、ママもしんどいですよね。もうちょっと大きくなってくると、少しおすわりもできるようにもなるし、その時にしっかりとお届けすれば良いので。それまでは、絵本に親しむことが大切ですね。無理やり聞かされて、嫌になられたら困りますよね。だから、何冊読むというより一緒に楽しむ。まずは、小さいサイズの絵本、布絵本、お風呂絵本で少しずつ慣れていけば良いと思います。触りたい、かじりたい時期は触らせてあげたり、落書き、破ってもOKの絵本を用意してあげてほしいです。そして自分の大事な本は、触らせない。「これは、ママの本だよ」と伝えて、手の届かないところに保管していました。


Q4. 何冊くらい子どもが手に取れる状態にしておくといい?

1歳半までは、おもちゃ箱に5冊ほど入れていました。様子を見ながら増やしていって、2歳になったら本箱を用意して触ってもいい本を置くようになりましたね。やっぱり手の届くところに置いておくと、読んで読んでって持ってきましたね。

Q5. 先にページをめくりたがってしまう時はどうすればいい?

めくらせてあげてください(笑)。触りたがる時は、触らせてあげてほしいですね。めくることが楽しい時期があるし、手先を動かすのは脳の発達にも良いんですよ。パラパラパラっとめくったその見方というのが、赤ちゃんの見え方に一番近いと言われています。これは指先の運動で練習してるんだって。だから、上手にめくれたね、えらいね、そんなんできるようになったんやねって。そういう気持ちでいたら良いと思います。その時、パッと中身が見えたら、あ、ゾウさんいたね、ウサギさん出てきた、とかちょっと見えたものを言ってあげてください。そのうち落ち着きますよ。だから、ゆっくりとお話を楽しめるようになるには、練習が必要です。いきなりはできません。何回も経験することで、絵本の楽しさもわかるようになって、本を出されたらなんか楽しいことが始まるな、とじっと見てくれるようになるんです。

Q6. 読み聞かせの効果ってどんなこと?

やっぱり一番は、親子の絆の土台作り。これからこの子たちが育っていく中で、反抗期も迎えるし、いろんなことがあると思うんですけど、しっかりと土台が作られていたら、お父さん、お母さんは絶対に裏切らない、という関係が築ける。子どもが横へちょっと曲がっていっても、また戻ってきてくれるんですよね。だから今、ふぇりーちぇで娘と活動できているのもそうなんですよね。娘も反抗期がありましたし。それこそ、もう学校行かへんって言って不登校の時期もありましたし。いろんなことがありましたけど、一緒に読み聞かせの活動をやりたいって言ってくれて、それができているということは、やっぱり小さい頃からの関わり方が私は間違ってなかったんだな、と思っています。だからコミュニケーションツールとして絵本を使ってほしいです。私の母も本がすごく好きで、読み聞かせをずっとしてくれていたから、今この活動ができていると思っているので、やっぱりお母さんはずっと大好きだし、絶対この人は私が何をしても裏切らないって思っていました。みんながみんなそうなるとは限らないですけど、そういう気持ちを持てるようになるっていうのは、良いことかなっていう風に思っています。

Q7.夜寝る前に読んであげるのがいいの?

絶対ではないですね。昼間でも良いけれども、時間に余裕のあるゆったりしている時が良いと思います。子どもも聞く体制ができているとき。そういう時にしていただいたら良いかなと思います。例えば、晩御飯を食べ終わってお風呂に入るまでの方がちょっと落ち着いてるなという場合は、その時でもいいし、お昼にお散歩から帰ってきて、手を洗ったら読もうと言ったり、いつでも大丈夫だと思います。あとは、外出する時に絵本も1、2冊カバンに入れて持って行ってましたね。病院とか待たされる時とかにも使えますし。病院にも置いてあったりしますが、好みの本があるかはわからないじゃないですか。だからやっぱり好きな絵本を持って行ってましたね。夜に読むのはこれ、外に行く時はこれを持っていくとか、毎日できない時もあると思うんですが、決めてしまうと楽かもしれません。

Q8. 月齢・年齢・シチュエーション別のおすすめ絵本は?

実は、その質問が一番どうしようって困るんです(笑) 小さいうちは、見える範囲も狭いから大きい絵本よりも小さめのものがいいですね。実際、赤ちゃん用の絵本って小さめに作られているのはそういうことなんです。子どもが見やすいように、視線に入りやすいようにっていうのがあるので。小さい絵本ってストーリーが特にないものも多いですが、ママがストーリーを付けたかったら付けたら良いんですよ。ほら、ハムスター、ハムスターってネズミさんの仲間やで、ママは触られへんけどな、とか色々言いながら、赤ちゃんの時はそんな風に楽しんでもらえたらいいなと思います。ただ、やっぱりまだ目がはっきり見えてないので、色や輪郭がはっきりしているものが見やすいので、注目してくれます。それと、赤ちゃんって、やっぱり赤ちゃんが好きなんですよ。だから、赤ちゃんが出てくる本は見てくれます。なんか自分のお友達みたいに思うんでしょうね。それが大きくなるにつれて、興味がまた違うものになっていくと思います。マイブームみたいな感じで。いつまでとかではなく、その子が好きやったらいつまででもいいと思います。だから、まだはっきり見えていない時は、色とか形がしっかりしているもの、それ以降はその子が好きなもので良いと思います。絵本に対象年齢が書かれていたりもしますが、あまり気にせず興味があるものを選んでいました。数の数え方を伝えたり、どんどん話を広げていくことができるんですよ。とにかく絵本で擬似体験を楽しんでほしいですね。こんにちは、おはよう、とか絵本の中で擬似体験して、実際にお会いしたときに、挨拶をする。実体験と擬似体験を繰り返すことによって、子どもって成長していくんです。絵本だけ、実体験だけで全部身につくものではないなと思います。お腹の中にいる時から、2歳くらいまでずっと読むほど気に入った本もありました。反対に4、5歳からって書いてある本でも2歳くらいから読んでいたりもして。何回も読んで読んでって言われました。

読み聞かせと言っても、一言一句間違わずに読まないとって思っている人が多いんですけど、そんなこと全然ないですよ。例えば、ほじるって書いてあるんですけど、私、ほじるっていう言葉が嫌いで、やっぱりきれいな言葉じゃないじゃないですか。だから、ほじるっていう言い方は嫌だったんですね、だから、なんかないかな、子どもにも伝わる言い方をしないといけないから、ほじほじしてる、にしようと思って(笑)そうやって、お鼻をほじほじしていると言って、家では言い換えをしていました。自分の伝えたくない言葉は、言い換えてもらって良いと思います。今よく女の子でも使われてますけど、でかいっていう言葉は、女の子の言葉じゃないと思ってて、自分も使わないし、娘に教えたくなかったんですね。だから絵本でも、でかいなんたらって出てくると、大きい何々で、そこはもう言い換えちゃうんですよ。パパが言ってるもんって言ったら、パパには娘の前では男の言葉はなるべく使わないでくださいってお願いをしました。

私は、読み聞かせが一番自由だと思っています。アナウンサーだったら、やっぱりニュースは間違わずに読まないといけない、とか形が決まってると思うんですけど、読み聞かせは、本当に自由な発想で良いと思っています。絵本で全部完結するというわけではなく、親子の関係がずっと続くための、取っかかりだと思っているので。シチュエーション別、年齢別に絵本を選んで欲しいと言われるけど、なかなか難しくて。どんな本でも声かけ一つだと思います。同じ絵本でも数字の勉強もできたり、ストーリーを広げていくことができるので。読むのはちょっと苦手、というママや歌が好きなママたちはぜひ歌絵本も使ってもらったら楽しいですよ。

絵本は、本屋さんだと中身が確認できるから、気に入ったものを買ったり、コープさんでも面白そうな表紙だなと思って買ったものもあります。私も全部網羅はしてないのでわからないんですけど、今、いろんな絵本があるのでお気に入りを見つけていただけたらと思います。

Q9. 読み聞かせ会の魅力は?

参加する側の時は、自分が読まない本、買わない本を読んでもらえる、すごく良い機会と思っていました。読まれる方のセンスで、やっぱりいろんな本を出してきてくれはるから、こんな本もあるんや、帰りに買って帰ろう、といった出会いもありましたし、読み聞かせの活動をやってみたいな、と思うようになりました。

読み聞かせ会を担当する側としては、なるべくいろんな本に出会ってほしいと思っているので、違う本を選ぶようにしていますね。なので、読み聞かせ会に参加される方は、親子で楽しんでいただき、絵本との出会いの場にしていただけたら良いかなと思っています。それですごく気に入った絵本はぜひ買っていただければと思いますね。新書で欲しい本、古本で手にいれる本、図書館で借りる本、と自分で3ランクに分けているんですが、それはみなさんそれぞれで良いと思います。

読み聞かせ会にまだ行ったことないという方もぜひご参加いただいて、親子で絵本の時間を楽しんでいただきたいです。将来的に一緒に読み聞かせの活動をしたいという方が増えると嬉しいですね!

最後に実際に、読み聞かせもしていただきました!みんなに語りかけるように読んでくださっためぐみおばちゃん。子どもも大人も惹き込まれる楽しい時間でした♪ありがとうございました!